一晩で読んでしまった

雷の季節の終わりに

雷の季節の終わりに

恒川作品を読むと、闇を意識する。小さい頃『暗い』ということが、ただそれだけで本当に怖かった。今でも、電気を全て消して寝ることはできない。布団に入ると、少しでも動いたら何か異形のモノに触れてしまいそうで、思春期の頃まで身体を強張らせたまま寝ていたことを覚えている。前作の夜市もそうだけれど、こういうノスタルジックな気持ちを、多かれ少なかれ誰からも想起させるからこそ、どこか懐かしい世界観が漂うのだと思う。主人公の親友となる少女の名前を見た瞬間ニンマリ。幻想の世界と現代の境界線をいく、そのバランス感覚が好き。