笑の大学

昨日まで大学のイベントだったため、本日は全学で休講。よしっ!と思い立って、「笑の大学」を観に行くことにした。この映画は、三谷幸喜脚本の舞台「笑の大学」を映画化したもの。公式webページによると、三谷さんは映画化するにあたり、新たに脚本を書き下ろしたという。西村雅彦・近藤芳正が演じた役を、それぞれ役所広司稲垣吾郎がどう演じるかも興味がある。8月30日の日記にも書いたように、「決して派手ではないけれど、味わい深い良さがあるこの作品をどう映像化するのか」を楽しみに観に行った。

  • 以下映画本編のネタバレを含みますので、注意してください。

前半の進行はとてもスローテンポ。あまりにゆったりなので、眠気に襲われ、イマイチ集中できず。斜め後ろの人はイビキを掻いて熟睡していた。舞台の台詞をかなり忠実再現しているが、たたみかけるような舞台のテンポ感が無い分、すこし間延びしたかんじ。本筋をメインで追うために「向坂(役所広司)への手土産」に関連したサイド・ストーリーが省略されていたのが、ちょっと残念。冷徹な印象の向坂が、妻が飼っている鳥について、あれこれ椿(稲垣吾郎)とやりとりすることによって、愛妻家の片鱗を見せる、という場面が印象深かったのに・・・(1日目に椿が手土産を持ってくるシーンのみ入っており、向坂の妻のことは全く出てこない)。でも逆を返せば、こうすることによって椿の冷徹さが際立っており、その効果は出ていたように思う。


4日目あたりから、テンポはスピードアップ。見せ場である、警察官の登場シーンについて二人で脚本をつくっていく様は、映画ならではの見せ方をしており圧巻だった。また、最後に向坂が難題を出すシーンも、舞台では向坂の変わり身がちょっと唐突な印象を受けたが、映画では時間を割いて2人の対峙を描いた分、納得がいく話の運びになっていた。


ラストはやはり涙。椿のモデルとなった菊谷栄が、召集された後35歳の若さで戦死したことを受けて、椿が戦争から帰ってくるシーンは撮影しなかったという。役所広司演じる向坂の椿に対する想いで胸がいっぱいになり、ぼろぼろ泣いてしまった。映画ならではのラスト・シーンは、100mの廊下を持つ名古屋市役所で撮影したという。今生の別れになるであろう2人の距離が強く印象に残った。